新しい治療法であるエクソソーム療法に対しては、その効果だけでなく、「安全性」についても気になる点でしょう。エクソソーム治療に伴う可能性のあるリスクや、安全性を確保するための取り組みについて解説します。エクソソーム療法のリスクは、使用されるエクソソームの種類や品質、そして注入方法などによって異なります。まず、エクソソーム製剤そのものに関するリスクです。エクソソームは細胞から分泌されるものですが、その由来となる細胞(ドナー細胞)が安全であること、そして培養や抽出・精製の過程で、ウイルスや細菌、その他の不純物が混入しないように、厳格な品質管理が行われていることが非常に重要です。もし、品質管理が不十分な製剤を使用した場合、感染症やアレルギー反応、あるいは予期せぬ免疫反応などを引き起こすリスクがないとは言い切れません。特に、他家(他人)由来の幹細胞を用いたエクソソームの場合は、より慎重な管理が求められます。次に、「注入手技に伴うリスク」です。注射やダーマペンなどを用いて頭皮に注入する際には、一般的な注入療法と同様のリスクが伴います。具体的には、施術部位の痛み、赤み、腫れ、内出血、点状出血などが一時的に起こることがあります。また、不衛生な環境や器具で施術が行われた場合、感染症のリスクも考えられます。さらに、「長期的な安全性」については、まだデータが十分に蓄積されていないという側面もあります。エクソソームが体内でどのように作用し、長期的にどのような影響を及ぼすのかについては、まだ解明されていない部分も多く、予期せぬ晩発性の副作用(例えば、がん化のリスクなど)の可能性が完全に否定されているわけではありません(ただし、現時点ではそのリスクは低いと考えられています)。これらのリスクを最小限に抑えるためには、まず「信頼できる医療機関を選ぶ」ことが最も重要です。日本では「再生医療等安全性確保法」という法律があり、再生医療を提供する医療機関は、治療内容に応じて国への届出や委員会の審査などが義務付けられています。この法律を遵守し、適切な管理体制のもとで治療を行っているかを確認することが、安全性を判断する上での一つの目安となります。また、使用されるエクソソーム製剤の由来や品質、安全性に関する情報を開示しているか、そして医師がリスクについて十分な説明を行ってくれるかも重要なポイントです。
12月10