AGA治療薬(フィナステリド、デュタステリド)と肝臓の関係について、これまで述べてきたように、いくつかの注意点があります。これらの情報を踏まえ、最も強調したいのは「自己判断は絶対に避ける」ということです。肝機能に関する不安や疑問、あるいは実際に体調の変化を感じた場合、必ず専門家である医師に相談することが、安全な治療の鉄則です。例えば、「自分は健康診断で肝機能は問題なかったから、お酒をたくさん飲んでも大丈夫だろう」「少し数値が高かったけど、自覚症状はないから薬を飲み続けても平気だろう」といった自己判断は非常に危険です。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、多少のダメージを受けても自覚症状が現れにくい特徴があります。自覚症状がないからといって、肝臓に負担がかかっていないとは限りません。定期的な血液検査による客観的な評価が不可欠なのです。また、「副作用が心配だから、薬の量を勝手に減らして飲もう」「調子が良いから、もう薬をやめてもいいだろう」といった自己判断も禁物です。指示された用法・用量を守らなければ、十分な治療効果が得られない可能性がありますし、急に服用を中止すればAGAの進行が再開してしまうリスクがあります。薬の量の調整や中止は、必ず医師の判断と指示のもとで行う必要があります。インターネットなどで、「〇〇というサプリメントが肝臓に良いらしいから、AGA治療薬と一緒に飲もう」といった情報を目にすることもあるかもしれません。しかし、サプリメントと医薬品の相互作用については不明な点も多く、予期せぬ影響が出る可能性もあります。併用したいサプリメントがある場合も、必ず医師や薬剤師に相談してください。肝機能に関する情報は専門的であり、個々の健康状態によってリスクも異なります。自己判断は、効果を損なうだけでなく、深刻な健康被害につながる可能性さえあります。AGA治療は、医師との信頼関係のもと、二人三脚で進めていくものです。肝臓に関する不安や疑問、体調の変化など、どんな些細なことでも正直に医師に伝え、相談する。そして、医師の指示に従って、定期的な検査を受け、用法・用量を守る。それが、肝臓への負担を最小限に抑え、安全かつ効果的にAGA治療を続けるための、最も重要な原則なのです。
5月26