ストレス性脱毛症円形脱毛との関連は

ストレス性脱毛症円形脱毛との関連は

強いストレスを経験した後に、髪が抜け始めた、あるいは円形にハゲができてしまった、という話を聞くことがあります。ストレスが原因で起こる脱毛症として、しばしば「円形脱毛症」が挙げられますが、その関連性はどの程度なのでしょうか。また、ストレスによって他のタイプの脱毛症が起こることもあるのでしょうか。まず、「円形脱毛症」とストレスの関係です。円形脱毛症は、免疫系の異常によって毛根が攻撃されてしまう「自己免疫疾患」が主な原因と考えられています。しかし、その発症の「引き金」として、精神的なストレスが関与しているケースが多いことが知られています。例えば、身内の不幸、失業、受験、大きな環境の変化など、強いストレスを経験した数ヶ月後に円形脱毛症を発症する、といったパターンです。ただし、ストレスが直接的な原因であるとは断定されておらず、あくまで発症のきっかけの一つと考えられています。ストレスがなくても発症する人もいますし、ストレスがなくても治らない人もいます。次に、円形脱毛症以外の「ストレス性脱毛症」についてです。前述したように、慢性的なストレスは、自律神経やホルモンバランスの乱れ、血行不良などを引き起こし、頭皮環境を悪化させ、髪の成長を妨げる可能性があります。これにより、特定のパターンを示さない「びまん性脱毛症」(髪全体が薄くなる)や、一時的に抜け毛が増える「休止期脱毛」のような症状が現れることがあります。このタイプの脱毛は、ストレスの原因が取り除かれたり、ストレスへの対処ができるようになったりすると、自然に改善していくことも多いです。また、AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)の素因を持っている人の場合、ストレスがその発症を早めたり、進行を加速させたりする「増悪因子」となる可能性も考えられます。まとめると、ストレスは円形脱毛症の発症の誘因となる可能性があり、また、びまん性脱毛や休止期脱毛といった他のタイプの脱毛症を引き起こしたり、AGAなどの進行を助長したりする可能性もある、と言えます。ただし、「ストレス=必ず脱毛症になる」というわけではありません。ストレスに対する感受性や体の反応には個人差があります。もし、ストレスを感じる出来事の後に抜け毛が増えたり、脱毛斑ができたりした場合は、早めに皮膚科を受診し、原因を特定してもらうことが大切です。