なぜ、フィナステリドは「毎日1回」服用する必要があるのでしょうか。その答えは、薬が体内でどのように働き、そして排出されていくかという「薬物動態」、特に「血中濃度」と「半減期」という概念を理解することで、科学的に明らかになります。まず、AGA(男性型脱毛症)の根本原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)は、私たちの体内で毎日、絶え間なく生成されています。フィナステリドの役割は、このDHTの生成を抑制することですが、その効果を発揮するためには、有効成分が血液中に一定の濃度で存在し続ける必要があります。この、薬の効果が保たれる血中の濃度を「有効血中濃度」と呼びます。ここで重要になるのが、「半減期」という言葉です。半減期とは、体内に吸収された薬の血中濃度が、最も高くなった時から半分に減少するまでにかかる時間のことです。フィナステリドの半減期は、個人差はありますが、およそ6〜8時間とされています。これは、服用後6〜8時間で、血中のフィナステリド濃度がピーク時の半分になってしまうことを意味します。そして、服用から約24時間後には、血中の濃度は効果を発揮するには不十分なレベルまで低下してしまいます。この科学的な事実が、「毎日1回」の服用が不可欠である理由を雄弁に物語っています。もし服用間隔が24時間以上空いてしまうと、血中のフィナステリド濃度が有効域を下回る「空白の時間」が生まれてしまいます。その間、抑制されていたDHTの生成は再び活発化し、毛根への攻撃を再開します。これでは、せっかくの治療効果が不安定になり、十分な結果を得ることができません。毎日1回、決まった時間にフィナステリドを服用するという行為は、この「空白の時間」を作らず、24時間にわたって血中濃度を有効域で安定させ、DHTの攻撃から毛根を常に守り続けるための、最も合理的で科学的な戦略なのです。それは、単なるルールではなく、薬の力を最大限に引き出すための、科学に基づいた約束事と言えるでしょう。
血中濃度が鍵!フィナステリドを毎日飲むべき科学的理由