「ビオチン」という栄養素の名前を、サプリメントや美容情報の中で目にしたことがある方は多いでしょう。しかし、このビオチンが一体どのような働きをし、私たちの体にどんな効果をもたらしてくれるのか、詳しくご存知の方は少ないかもしれません。ビオチンは、ビタミンB群に属する水溶性のビタミンの一種で、かつては「ビタミンH」とも呼ばれていました。皮膚(Haut)の健康に深く関わることから、その頭文字が取られたと言われています。日本では、栄養機能食品として「皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素」と表示することが認められており、その名の通り、私たちの美と健康の土台を支える、極めて重要な役割を担っています。ビオチンの最も重要な働きは、体内で「補酵素」として機能することです。補酵素とは、食物から摂取した栄養素を体内でエネルギーに変えたり、体を作る材料に変えたりする「代謝」のプロセスにおいて、主役である酵素の働きを助けるパートナーのような存在です。ビオチンは特に、私たちが生きていく上で欠かせない三大栄養素、すなわち「炭水化物(糖質)」「脂質」「タンパク質」すべての代謝に関与しています。例えば、糖質をエネルギーに変える過程や、脂質を合成・分解する過程、そして、髪や皮膚、爪の主成分であるタンパク質のもととなるアミノ酸の代謝をサポートします。つまり、ビオチンが不足すると、これらの栄養素を効率よく利用することができなくなり、エネルギー不足による疲労感や、皮膚や髪のトラブルといった、様々な不調を引き起こす可能性があるのです。ビオチンは、何か特定の症状を劇的に改善する「特効薬」ではありません。しかし、私たちの体の根幹をなすエネルギー代謝と細胞の生まれ変わりを円滑に進めるための、まさに「縁の下の力持ち」。この地味ながらも不可欠な働きこそが、内側から輝くような健やかな髪、肌、爪を育むための、全ての基本となるのです。
ビオチンとは?健康を支える美のビタミン